ある寒い3連休の街コン
街コン
あぁ、なんて甘美で叙情的な言葉なんだろう。雨の日のアスファルトみたいに、悲しさと強さを感じる。
かの夏目漱石先生も、平成と次の時代の狭間を生きていたならば「I love you」を何の迷いもなく「街コン」と訳したに違いない。
街コンに興味がある人はたくさんいるかもしれない。かくいう僕も、興味はあるがなかなか踏み出せない人の一人だった。そんな中途半端ボーイズ&ガールズにこのブログを贈りたい。
この文章を読んでみなさんがどんな感想を抱くかは任せるが、きっと街コンへの興味は倍増、いや5倍くらいになるだろう。あとは、もう1歩を踏み出すだけだ。(別に街コン業者からお金を貰って書いてるわけでも無いので、実際に行くとか、そこで嫌な思いをするとかは勝手にしてください)
きっかけ
3連休ただ一つの予定、「実家からの支給物資の受け取り」というモンハンの練習クエストみたいな用事が完了してしまった僕は、圧倒的に暇を持て余していた。
人間、忙しすぎても駄目だが暇すぎても駄目なのである。このままでは先週と同じく、ワインをラッパ飲みしながら映画を見てボロボロ涙を流す休日になってしまう。
あせった僕は、同じようにクソ暇そうなI君に連絡した。案の定、暇だった。
「そうだ、合コンをしよう!」と二人で話し合ったが、そもそも突発的に合コンを開催できる人間は、3連休の初日をこんな風に過ごしていない。きっと湘南かどっかで浅黒い肌をした友人とサーフィンをしているか、ゴッホが酷めな咳の擬音語ぐらいにしか思っていない女と美術館へ出かけている。
そんな我々に残された手段は、もう「街コン」しかないのだ。安くはないお金を払って、有象無象の一部へと成り下がるしかないのだ。
しかし時刻はすでに15時。この時間から予約して参加できる街コンなどあるのだろうか…。
この流れからお分かりかと思うが、腐る程ある。
もはや今この瞬間も、東京のどこかで街コンは開かれているのではないかというレベル。さすがは眠らない街、東京。「お前ら、遊べ。」と街が語りかけてきているのが聞こえる。
ということで僕らが選んだのはこちら。
20代限定やら、シャッフルタイムやら、表参道やら、何とも魅力的なワードが並ぶ。お値段は7500円と安くはない。
しかし、街コンの良いところは
女性も料金を払っていることである。
実は世の中の「出会い」を目的としているサービスのほとんどは「女性無料」を売りにしている。無料で女性を集め、それに群がった男たちから金を巻き上げようという、素晴らしく合理的なシステムだ。欲求の手のひらの上で転がされているのを感じる。女性の参加するハードルが下がるという利点はあるものの、タダ酒を飲みたい人や終電までの時間つぶしみたいな「モチベゲロ低女子」が発生してしまうのを防げない。
だがしかし、街コンはどうだろう?男性よりは料金が安いとは言っても、ある程度の金額(今回の場合だと2500円)を 払っているのである。金が余ってしょうがないみたいな社長令嬢が参加している場合を除き、参加者のほとんどが2500円を支払い出会いを求めに来ている。
これに気づいてしまった私とI君。天才かと思った。日向一族かもしれん。最強だし。
ということで、
街コンに行ってきました
会場
先ほども少し登場したが、会場は表参道駅から徒歩5分ほどのダインニグバーみたいな場所。都内でも複数個所で開催されている街コンだが、僕らが表参道を選んだのは
- お洒落な街には美人が集まるの法則
- もし仮に2次会みたいな流れになった時に、いい感じのお店がありそう
- 表参道に身を置きたい
という至極真っ当で純真な理由である。
会場に向かうまでの道のり、これが楽しい。I君と2人で、どんな人がいるのだろうか、前を歩いているあの子は参加者なのだろうか、もし芸能人がお忍びで来ていたらどうしようという話をしていた。気分的には宝くじを買ったときに似ている。どうせダメなんだろうと思いながらも、ワクワクを抑えきれない感じ。セルと戦う前の悟空も僕と同じ気持ちだったと思うと、僕にもサイヤ人の血が流れているのかもしれない。
さて、入場です。
全体の流れ
会場に着いたら、まずは年齢確認。お酒の提供もあることや、20代限定のイベントであることからここはスタッフさんがしっかりと確認。絶対に免許証とかは忘れないようにしよう。(I君は免許証不携帯という社会人らしからぬミスを犯したので、入場でかなりグダりました)
荷物を預けたら、グループ分けへ。今回は男子40人VS女子40人という大規模な戦いなので、それぞれ8人くらいのグループに分けられる。ここでまさかのI君とも別れ、僕は一気に不安に。さっきまで余裕ぶっこいてたのに、焦りが止まらない。「へぇー、お洒落な内装してんだな、配管むき出しじゃん」みたいな顔して店内をきょろきょろしていたところ、パーティースタート。さぁ、戦の始まりじゃあぁぁぁ!
妙に司会慣れしているスタッフさんから説明された本日の流れは以下の通り。
- 今のグループで20分くらいお話しタイムだよ。
- 男子が次のグループのところに移って、20分歓談。これを5回くらい繰り返すよ。
- 最後に自由時間。気になった子のところに動いてアプローチしてね。
- 食事・飲み物は随時取ってね。
ざっくり説明するとこんな感じ。合コンの初期ムーブが連チャンで開催される感じだと思ってほしい。これは厳しい戦いになるぞ…と隣の男子が呟いた気がしなくもなかったが、会はスタートした。このときは思っていなかった、まさかこんな血なまぐさい戦いになるなんて。
序盤
比較的、順調にパーティーは進んでいた。参加している女子はみんな良い子ばっかりで、ハキハキとしていた。連絡先も交換したし、僕の緊張も、酔いがまわったのか少しずつ解消された。
マイナスポイントとすれば、1ターンごとに連絡先交換をするので、誰が誰かわからなくなってしまう。もし同様のパーティーに参加する人がいたら、交換したLINEにメモを残すようにするのをオススメする。名前のところを「ゆい」→「ゆい 看護師 巨乳」みたいに変えてしまってもいいかもしれない。
いくつかのグループと話をしたが、正直なところ僕はもう2グループ目くらいから帰りたくなっていた。女子に気になる子がいなかったのは確かなのだが、それよりも同じグループの男子がキツかった。
僕のグループは6人組だったのだが、僕・普通の男子×3・おとなしい男子・地雷君の6人だった。いまさらっと書いたから気づかなかったかもしれないが、地雷がいた。仲間内にいたのだ。ユダである。明智光秀である。ブルータス、お前もか。
そして僕は地雷に出会う
この地雷、いかんせんよく喋る。口にミニ四駆のウルトラダッシュモーターがついてるんじゃないかってくらい喋る。
しかも声がデカい。上沼恵美子くらいデカい。そのせいでずっと地雷君のターン。武藤遊戯も引いちゃうくらいに、自分のターン。そんな彼のおかげでずっと早く帰りたかった。早く家に帰って、ワインをグビグビ飲みながら「Angel Beats!」の続きを見たかった。
終盤
地雷を踏み続けたまま、いつのまにかパーティーは終盤。最後のフリータイムとなった。早く地雷から離れたかった僕は、一目散にデザートを取りに行った。途中、「街コン来てるのにスイーツ優先してる私たちウケるよね笑」てきな女子6名くらいに囲まれて苦しい思いもしたが、パーティーは終了。
そのままI君と一緒に表参道で唯一クソ安い居酒屋である
に避難した。ちなみにこの中西という居酒屋、外観からは想像できない安さと「これでええんじゃ」感のある料理を出してくれるのでオススメです。
総評
僕はたまたま地雷を引いてしまったが、基本的にはすごく良い催しだと思う。彼氏・彼女が欲しい人も、ちょっと出会いがほしいなぁって人にも良いと思う。
最後に参加者の印象だが
男子
案外普通のやつが多い。1人で来てほとんど喋らないみたいな猛者もいるけど、全体的に見ると、ちゃんとしてる人が多い印象。20点台はいないけど、90点もいないというある意味平和な参加者層だった。地雷には気を付けてほしい。
女子
僕の会った人がなのかもしれないが、看護師・保育士の人が多かった気がする。見た目的にも普通の人が多くて、こんなとこ来なくても出会いあるでしょ!と思った気がする。ちなみに1番モテてたのは秘書の人と、会社受付の人だった。男子、分かりやすい。
後日談
後日、たくさんの人から連絡が来た。いきなりクリスマスパーティーに誘ってくる人や、二人で会おうと言ってくれる人がいて、みんな積極的だなとビックリしたのを覚えている。面白かったのは、ほとんどの人が「看護師のゆいです!昨日はありがとうございました!」と挨拶してくるところ。彼女たちのアイデンティティーが職業であると思うと、悲しい気持ちになった。「巨乳のゆいです!」って来たら、絶対返信するのに。最終的に「居酒屋 中西」の宣伝みたいになってしまったが、それはそれで良しとしよう。いい店だし。絶対街コン行くより安いし。